マッチングサービスやSNSで知り合った相手と、毎日のように話す。将来や家族の悩みまで打ち明け合う。その関係の中で金銭や投資の話が出ると、「疑うのは相手に失礼かもしれない」と迷うことがあります。
しかし、親しさとお金の判断は分ける必要があります。警察庁は、SNSなどで恋愛感情や親近感を抱かせ、投資名目や交際を続ける名目で金銭をだまし取る「SNS型ロマンス詐欺」への注意を呼びかけています。
相手が詐欺だと一人で断定することより、送金を止め、記録を残し、第三者へ相談できる状態をつくることが先です。すでに支払った場合も、自分を責めるより被害の拡大を止める行動を優先してください。
ロマンス詐欺は親しさを金銭要求へ結びつける
SNS型ロマンス詐欺では、会ったことのない相手と継続的に連絡を取り、恋愛感情や親近感が生まれた後に金銭を求められることがあります。投資サイトや暗号資産への入金を勧める例だけでなく、渡航費、治療費、荷物の受取費用などの名目が使われる場合もあります。
やり取りが丁寧だったこと、長い期間連絡が続いたこと、音声や映像で話したことだけで、金銭の話が安全だとは確認できません。表示された利益や残高も、実際に出金できる資産とは限りません。
相手への気持ちが本物だったとしても、送金の判断まで正しかったと証明する必要はありません。関係と取引を別々に見ます。
金銭や投資の話が出たときの確認点
次のような状況があれば、支払い・契約・口座開設を進めず、相手と利害関係のない人や公的窓口へ相談します。
- 「二人の将来のため」と投資や副業を勧める
- すぐ返す、必ず増える、損はしないなどと断定する
- 指定されたサイト、アプリ、暗号資産口座だけを使わせる
- 少額の利益や出金を見せた後、入金額を増やすよう求める
- 出金のための税金、保証金、手数料を追加で請求する
- 家族や金融機関、警察には話さないよう求める
- 断ると関係を終える、秘密を公表するなどと不安をあおる
- 自分名義の口座で他人のお金を受け取り、別口座へ送るよう頼む
一つだけで詐欺と決まるわけではありません。ただし、確認できない相手へお金を渡す理由にもなりません。「今日中」「今だけ」と急かされても、判断を止めて構いません。
支払う前に止める三つの行動
1. その場で送金しない
相手が示した連絡先、投資画面、口コミだけで安全を判断しません。追加送金、借入れ、クレジットカード決済、暗号資産の送付、口座や認証コードの共有を止めます。
2. 相手とは別の経路で確かめる
企業名やサービス名が出た場合は、相手から届いたURLではなく、自分で探した公式窓口へ確認します。実在する会社名や人物の画像が悪用されることもあるため、名前が確認できたことと、目の前の相手が本人であることは分けます。
3. 一人で結論を出さない
信頼できる人に、金額、期限、送金先、相手の説明をそのまま見せます。恥ずかしさや配偶者に知られる不安があっても、追加被害を防ぐための相談を遅らせないことが大切です。警察相談専用電話は「#9110」、消費者ホットラインは「188」です。受付や接続先は地域等で異なるため、最新案内も確認します。
すでに送金したときに優先すること
追加の支払いを止める
「取り戻すための手数料」「口座凍結を解除する保証金」などを求められても、追加で支払いません。別の回収業者や専門家を名乗る相手から新たな費用を求められる二次被害にも注意します。
金融機関と公的窓口へ早めに連絡する
自分が利用した金融機関や振込先の金融機関へ、詐欺の可能性があることを伝え、可能な対応を確認します。あわせて警察や消費生活センターへ相談します。連絡が早くても返金を保証できるわけではありませんが、相手との話し合いだけに任せないことが重要です。
やり取りと送金記録を残す
相手をブロックしたりアプリを削除したりする前に、相談先へ説明できる記録を残します。
- 相手の表示名、ID、プロフィール、連絡先
- 知り合ったサービス名とプロフィールURL
- メッセージ、メール、通話日時の記録
- 案内されたサイトやアプリのURL
- 振込先、口座名義、送金日時、金額、明細
- 暗号資産を送った場合の送付先や取引記録
- 相手から届いた契約書、画像、音声など
記録は加工せず、時系列が分かる形にします。何を保存すべきか迷う場合は、先に警察や消費生活センターへ確認してください。
自分を責めることと事実確認を分ける
親切な言葉を信じたことや、孤独な時期に支えを求めたことが、被害を受けてよい理由にはなりません。「なぜ気づかなかったのか」と自分を責め続けると、相談が遅れることがあります。
今必要なのは、相手の気持ちを証明することではなく、これ以上お金や情報を渡さないこと、記録を保つこと、第三者につながることです。脅しや身の危険がある場合は、相手を説得しようとせず安全な場所から警察へ相談します。緊急の危険があるときは110番を利用してください。
迷ったら金銭判断だけを止めてよい
相手との関係を今すぐどうするか決められなくても、送金と契約だけは止められます。親しさは、確認できない取引を急ぐ理由にはなりません。
金銭の話が出たら、支払わない、相手と別の経路で確かめる、第三者へ相談する。すでに支払ったら、追加送金を止め、金融機関・警察・消費生活センターへ連絡し、記録を残す。この順番を優先してください。
参考・確認した情報
- 警察庁「SNS型ロマンス詐欺」
https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/sos47/case/sns-romance/romance/ - 消費者庁「マッチングアプリをきっかけにした高額契約への注意喚起」
https://www.caa.go.jp/notice/entry/046534/ - 国民生活センター「消費者トラブルFAQ」
https://www.kokusen.go.jp/t_box/t_box-faq.html
確認日:2026年8月24日
